はじめに

 白濱研究室は1999年4月にスタートし、2015年で17年目に入りました。これまで、液体ヘリウム表面2次元電子系、ナノ多孔体中ヘリウム、極低温ナノスケール摩擦などの研究を行ってきました。中でも、科学研究費特定領域研究・基盤研究(S) の助成により、多孔体を用いたナノスケールヘリウムの研究を独自に開拓し、低温物理特に量子流体固体分野のフロンティアを開拓してきました。

 2012年に世界的に起こったヘリウムガスの供給難問題は、私たちの研究に大きな影響を及ぼしました。ヘリウム価格の高騰と、折悪しく2010年に液化機を廃止していたこともあって、それまでのような大量の液体ヘリウムを消費する極低温実験はできなくなりました。

 この危機的状況を、逆に新しい研究分野を開拓するチャンスと捉え、現在ヘリウムを殆ど消費しない冷凍システムへの転換を進めると共に、量子液体・量子固体の基礎及び応用的側面をより深い視点で研究すべく準備を進めています。特に、超流動ジョセフソン効果の研究、核断熱消磁冷凍装置の導入によるトポロジカル超流動ヘリウム3の研究、回転冷凍機を用いた超流動および固体ヘリウムの新奇な量子効果の探索、ナノ多孔体中ヘリウムの量子臨界性の研究に重点を置いて取り組んでいます。これらの研究のいくつかは、本理工学部物理情報工学科、理化学研究所、東京大学低温センターおよび物性研究所、足利工業大学、兵庫県立大学、東京医科歯科大学、電気通信大学などの研究者との共同研究として進めています。

               慶應義塾大学理工学部物理学科 白濱 圭也

 

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