渡邉研究室では光励起による様々な物質相制御の実現を目指して研究を進めています。 特に可視光よりも振動数が1/100〜1/1000ほど低いテラヘルツ(テラヘルツ=1012ヘルツ)帯域のパルスを用いた物質制御の新分野を開拓しています。テラヘルツ帯域、いいかえると遠〜中赤外域の光パルスを用いることで、物質中の分子振動の直接励起が可能になります。また振動数があまりにも低いために「光」というよりは 「電波」に近い性質を持つため、物質に電極等をつけることなく、(静)電場・磁場をかけるのと類似した効果を与えることができます。このような特色あるテラヘルツパルス光を用いることによって、これまでの可視域の光励起では実現することのできなかった 分子振動直接励起による相変化や、光電場あるいは光磁場印加による物質中の電子・スピン状態制御を目指しています。
光物性物理学、半導体ナノ構造、低次元有機導体、超高速分光、テラヘルツ分光
「光は波である」ことは皆さんご存じかと思いますが、実際に可視光の電場ベクトルが時間の関数として振動する様子を実験的に捉えるのはなかなか難しいものです。しかし可視光より圧倒的に周波数が低いテラヘルツ光(電磁場)はその振動の様子を実験的につぶさに捉えることができますので、物質中で電子系と光(電磁場)とがどのように相互作用するのかという本質的な物理を詳しく調べることが可能になります。私は、このような理解しやすい光を用いた基礎的な実験を通して、光による物質制御の可能性を最大限に引き出すような研究を進めてゆきたいと考えています。光の研究分野は常に時代の最先端を走り続けており人々の好奇心を刺激し続けています。若くて好奇心あふれる皆さんがこの分野にとびこんでくれることを期待しています。