FACULTY教職員紹介

Yasuhiro NISHIMURA
名前 西村 康宏 (ニシムラ ヤスヒロ, Yasuhiro NISHIMURA)
居室 22 棟 3 階 302B 号室
E-mail
専門分野 素粒子・宇宙線実験
研究室 西村研究室

西村研究室では、素粒子・宇宙線の測定・観測を通して、自然を支配する基本原理の解明と、宇宙創生から発展までを記述できる法則の検証を目指します。
宇宙のあらゆるものを構築する最小要素である「素粒子」を記述できる理論「標準模型」は、これまで見つかっている粒子のふるまいをうまく表現できます。 しかし、より自然で一般的な「大統一理論」が完成すれば、これらのふるまいを統一的に解釈できるようになります。 例えば、既知の理論では起こらない陽子崩壊が見つかれば、標準理論を超える新たな物理の存在を直接証明できることになり、大統一理論を探る大きな手がかりとなります。
既知の素粒子の中でも謎の多いニュートリノでは、3つのニュートリノ振動モードが2013年までに全て発見され、一方で質量や対称性の大きさ、混合具合などの謎が多く残っています。 ニュートリノ観測の技術を向上させることで、ニュートリノを通して宇宙の創生と成り立ちを紐解くことも可能となってきています。
そこで、研究室ではニュートリノや陽子崩壊に絡む新物理の探究に挑み、さらに新たな実験技術で臨む次世代研究を推進しています。

研究室では、いくつかの国際共同研究に参加しています。

スーパーカミオカンデGd実験(外部サイト
超純水に硫酸ガドリニウムを加えることで、ニュートリノの反粒子を検出できるスーパーカミオカンデ「Gd」が2020年に新たな実験として始まりました。 超新星爆発の瞬間ではなく、宇宙創生時からの超新星爆発から残留して積算されている、超新星「背景」ニュートリノの発見を目指しています。 従来のスーパーカミオカンデと同様に、ニュートリノ振動や陽子崩壊探索も継続します。

ハイパーカミオカンデ実験(外部サイト
新たな検出技術を導入し、従来の約10倍の大きさで将来のニュートリノ研究を担う、「ハイパーカミオカンデ」の建設が2020年に始まり、2027年から観測開始を目指しています。 素粒子の大統一理論を探るための陽子崩壊発見や、天体ニュートリノ観測を目指します。

T2K(東海ー神岡間長基線ニュートリノ振動)実験(外部サイト
J-PARC加速器(茨城県)から生成したニュートリノの振動を295 km離れた神岡(岐阜県)で測定し、ニュートリノと反ニュートリノの違いからニュートリノに潜むCP(荷電空間)対称性の破れを検証します。 ニュートリノの精密測定から、混合具合などの性質を詳細に解き明かすことで、宇宙創生の起源に迫ります。

中間距離水チェレンコフ検出器(IWCD)
J-PARC加速器(茨城県)の近くに建設を計画している、小型のカミオカンデ式水チェレンコフ検出器です。 長基線ニュートリノ振動が起こる前のニュートリノを精度良く測定することで、高精度のニュートリノ検出を可能にします。 ヨーロッパCERNでの予備実験も計画しています。

これらの取り組みを中心に、素粒子の究極理論完成に向け、また宇宙線もあわせて宇宙の創生から成り立ちを探るための研究を続けています。 活動の詳細は研究室ページをご覧ください。

研究キーワード

素粒子・宇宙線実験、ニュートリノ、大統一理論検証

学生へのメッセージ

新たな知見を得るための研究は、徐々に既存の知識を体得していく勉強とは異なり、ゼロから地道に継続して取り組む意欲が求められます。 素粒子は非常に小さいにも関わらず、最近の探究には10年以上の歳月と100人規模の研究者、そして大規模なコストを要することになります。 実験では、きっかけを掴むために数多くの試行が必要で、最初のアイデアと技術が将来の研究成果を決定付け、また長年の努力でようやく成果を手にすることができます。 学生の皆さんには、大きな目標と初心を忘れずに、地道に取り組む基礎研究が今後の成果に繋がることを常に意識して、学問の発展の一端を担う重要な役割を果たしていけるよう期待しています。

研究室では、他大学や他分野からの進学・社会人や海外からの入学も歓迎します。 配属に際して、素粒子・宇宙線関連の知識が特別に求められる訳ではありません。 学部生の間は広く物理の基礎を身につけていれば、進学後にやる気次第で大きく成長できます。 不明な点や相談事があれば、お気軽にご連絡下さい。

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